2020 年 63 巻 2 号 p. 41-49
思春期・青年期1型糖尿病患者と保護者のトランジションにおけるレディネス(準備状態)の認識を明らかにした.12~20歳の患者と保護者27組に対し,患者へはトランジションにおけるレディネス,内科への転科の意志とその理由,保護者へは保護者が認識する患者のレディネス,転科の意志とその理由を調査した.その結果,レディネスの知識の総得点の中央値(範囲)は患者34(16-44)点,保護者33(25-41)点,行動は患者29(19-45)点,保護者30(21-42)点で両者に有意差は認められず,各項目得点でも有意差は認められなかった.よって,保護者は患者のレディネスを適切に把握していると考えられた.しかし,レディネスが形成されている患者は5名(18.5 %),内科への転科の意志がある患者は6名(22.2 %),保護者は8名(29.6 %)のみのため,早期から移行の準備を進める支援が必要である.