糖尿病
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症例報告
抗GAD抗体,抗グリアジン抗体陽性の自己免疫性小脳失調症を合併した多腺性自己免疫症候群3型の1例
井土 哲志大井 あや三輪田 勤富貴原 紗侑里笠井 貴敏伊藤 雅子赤羽 貴美子吉岡 修子井上 裕康
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キーワード: 抗GAD抗体, SPIDDM, バセドウ病
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2020 年 63 巻 5 号 p. 331-338

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抄録

【症例】42歳女性【既往】14歳Basedow病(以下GD),35歳 緩徐進行1型糖尿病,40歳 側頭葉てんかん【現病歴】X年2月に歩行時ふらつきを自覚,4月にシックデイとGD悪化で入院.改善し退院したが,6月に眼振と小脳失調症状を認め再入院となった.血清・髄液抗GAD抗体と血清抗グリアジン抗体陽性から自己免疫性小脳失調症と診断した.血漿交換,ステロイドパルス療法及びプレドニゾロン内服,グルテン制限食などの治療により改善し独歩退院となった.プレドニゾロン内服のためインスリンは増量となったが,血漿交換後にGDは改善し抗甲状腺薬は中止となった.【考察】多腺性自己免疫症候群(以下APS)3型の経過中に自己免疫性小脳失調症を発症した貴重な1例で,治療経過と併存症への影響について報告する.自己免疫性内分泌疾患を背景に持つ患者が小脳失調症状を呈する場合,本疾患を疑い早期に精査を行うべきである.

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© 2020 一般社団法人 日本糖尿病学会
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