糖尿病
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症例報告
肥満手術前からの栄養指導で食行動修正を経て妊娠・出産に至った不妊の2型糖尿病の1例
藤井 淳子太田 充山藤 知宏森田 聖布施 順子戸川 剛安田 浩一朗
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2021 年 64 巻 6 号 p. 368-375

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抄録

症例は28歳女性,体重138.4 kg(BMI 46.7 kg/m2),2型糖尿病(HbA1c 7.6 %).多嚢胞性卵巣症候群にて無月経あり他院で不妊治療を2年間行うも妊娠に至らず不妊改善の減量目的に当院紹介受診した.食事・運動療法では減量維持せず無月経も改善しなかった.次の治療に肥満外科手術を示し有効性やリスクを説明すると,腹腔鏡下スリーブ状胃切除術を希望した.術前から頻回に栄養指導し約5か月で体重は約10 kg減少し119 kgとなり手術を施行した.術後半年で体重90.1 kgへ減量,HbA1c 5.0~5.3 %で経過した.経過良好にて無月経の治療を再開したところ,妊娠・出産に至った.糖代謝は,術前は75 gOGTTで境界型相当だったが28か月後は正常型相当となった.患者が術前からの栄養教育により食事療法の重要性を十分理解していたことで妊娠中の栄養補給も適切に実行でき,無事出産に至った.

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© 2021 一般社団法人 日本糖尿病学会
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