糖尿病
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症例報告
肺炎桿菌による腹部大動脈の感染性動脈内膜炎の初期から経過を追うことができた2型糖尿病の1例
川原 順子藤塚 偉利哉横山 茉貴若林 祐介仙田 聡子高田 裕之平岩 善雄
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2023 年 66 巻 5 号 p. 353-358

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抄録

症例は74歳男性.主訴は下肢の脱力と発熱.血液培養で肺炎桿菌Klebsiella pneumoniae(以下KPと略)が検出され,セフトリアキソンの治療を開始した.一次感染巣を検索したが,肝胆道感染症,尿路感染症,呼吸器感染症,脊椎椎間板炎,心内膜炎等の所見を認めなかった.入院9日目の造影CTで新たに,腹部大動脈の拡張と周囲の脂肪織濃度上昇,動脈壁内の膿瘍の所見を認め,KPによる感染性大動脈炎と診断した.血管内感染症として感受性のあるセファゾリンを高用量で投与し治癒した.HbA1cは6.5 %で,血糖コントロールにインスリン治療を要した.通常,動脈壁の感染は成立し難いが,進行した動脈硬化巣は感染巣となりうる.易感染性と動脈硬化を有する糖尿病患者において,感染性動脈内膜炎を菌血症の鑑別に挙げるべきである.

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© 2023 一般社団法人 日本糖尿病学会
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