2024 年 67 巻 12 号 p. 505-509
64歳,男性.糸球体腎炎で腎移植後に移植尿管癌を発症し,移植尿管全摘術を施行された.以後血液維持透析,ペムブロリズマブ投与が開始された.入院5日前から倦怠感,前日より口渇を自覚し,当科を受診した.血糖値1159 mg/dL,代謝性アシドーシスを認めたが,意識障害やバイタルサイン異常を認めなかった.血液透析を行い血糖値300 mg/dL台まで低下し,食事再開後に強化インスリン療法へ移行した.血中Cペプチド値は発症時には測定可能だったが,再検で測定感度以下であった.経過から免疫チェックポイント阻害薬(ICI)投与後に劇症1型糖尿病を発症し,ケトアシドーシスに至ったと診断した.ICI投与後発症の劇症1型糖尿病は通常より発症が緩徐とされており,維持透析中であることも合わせて診断,初期治療に難渋することがあり,示唆に富む症例と考えられたため報告する.