2024 年 67 巻 8 号 p. 333-339
47歳男性.10年間未治療の2型糖尿病を有し,糖尿病性ケトアシドーシス(HbA1c 16.5 %)にて入院し,急性期治療,強化インスリン療法後2か月でHbA1c 7.1 %まで改善した.同時期より上下肢のしびれやふらつきを自覚し,次第に悪化し起立性低血圧も出現した.神経伝導検査で感覚神経優位の多発神経障害を認めた.症状は非典型的であったが,臨床的に糖尿病治療誘発性神経障害(TIND)と診断した.一方,腓腹神経生検では大径・小径有髄線維密度の減少とマクロファージの浸潤,髄液蛋白の上昇を認め,免疫介在性・炎症性の機序も考えられたため,免疫グロブリン大量静注療法(IVIg)を行ったところ,上肢の表在感覚障害と起立性低血圧が改善した.TINDにIVIgを行い,神経症状の改善を認めた興味深い症例を報告する.