糖尿病
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山陰地区における糖尿病患者の死因統計
三原 俊彦笠原 督富長 将人木村 禎宏平田 幸正岡田 紘司島雄 道朗北室 文昭横山 昇
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1974 年 17 巻 6 号 p. 489-495

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抄録

山陰地区糖尿病患者の死因の特徴をみる目的で, 山陰糖尿病クリニークの会に所属する山陰各地の病院に通院し, 昭和45年1月より昭和48年6月までの間に死亡した一次性糖尿病患者の死因について検討した.集計された死亡糖尿病患者は129名あり, 死因の第1位は糖尿病性腎症であり, ついで脳血管障害, 悪性新生物, 虚血性心疾患の順であった.また, 病院で死亡した95名に限ってその死因をみたところ虚血性心疾患による死亡が最も多く, 自宅で死亡した34名の死因では糖尿病腎症が最も多かった.つぎに, 糖尿病群の死因別死亡者数を昭和46年に死亡した鳥取県一般住民の死亡統計をもとにして計算した対照群の死因別死亡者数と比較してみると, 糖尿病死 (糖尿病昏睡および糖尿病性腎症) および虚血性心疾患による死亡者が, 対照群に比し有意に多かった.
山陰地区に比較的多いと思われる糖尿病性壊疽を死亡時有していた症例が129例の死亡糖尿病患者中9例存在し, 約7%という高い合併率を示した.
山陰地区糖尿病患者の死因の特徴として, 糖尿病性腎症および虚血性心疾患が多いことがあげられ, 同時に糖尿病性壊疽を合併した症例が高頻度にみられたことより, 糖尿病の長期放置例あるいは糖尿病治療の不完全な症例が多いことが考えられた.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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