糖尿病
Online ISSN : 1881-588X
Print ISSN : 0021-437X
ISSN-L : 0021-437X
肥満の病態生理学的研究 (2)
肥大脂肪細胞の脂質分解に関する検討
佐々木 英継佐野 隆志小山 勝一阿部 正和
著者情報
ジャーナル フリー

1975 年 18 巻 4 号 p. 410-417

詳細
抄録
肥満における代謝異常と脂肪細胞の形態的変化との関係について先に報告した。
ここでは, ヒトの摘出した脂肪細胞の形態的変化, 特に脂肪細胞の大きさと.その細胞の代謝活性との関連性について検討を行った.
ヒト摘出脂肪細胞は腹壁皮下脂肪組織から手術時に得た。代謝活性は, 脂肪細胞からのグリセロール放出量であらわした.
肥満では, 脂肪細胞の大きさがいつも増大していた。肥満の脂肪細胞は, 非肥満の脂肪細胞より, そのbasal lipolysisは高い割合を示した.しかし, 高濃度ノルエピネフリンやdibutyril cyclic AMPによる刺激の際の脂質分解は, むしろ減少していた.更に吟味すると, basal lipolysisの充進は, 脂肪細胞の大きさといちじるしい関連があった.ノルエピネフリンとdibutyrll cyclic AMPによる刺激では, その脂質分解反応は脂肪細胞の大きさの増加とともに増加する傾向を示した.しかし, 大きな脂肪細胞が多数を占める場合には, 脂肪細胞の脂質分解反応はむしろ減少することが明らかになった.
このように肥大した脂肪細胞が多い場合に弱い脂質分解反応を示すという知見は, 脂質分解の活性化機構が, なんらかの要因によって抑制されていることを示唆している
著者関連情報
© 社団法人 日本糖尿病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top