糖尿病
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糖尿病に合併する下肢の骨病変とくに糖尿病性骨症 (Diabetic Osteopathy)
門田 一郎篠部 信雄大本 晃生国里 宏一郎斎藤 実
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1975 年 18 巻 6 号 p. 648-655

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抄録

糖尿病に合併する下肢の骨病変には血管障害および末梢神経障害の結果発生する壊疽による骨壊死および壊疽が感染を伴って起こる骨髄炎がある.また著明な末梢神経障害を合併する糖尿病で壊疽がない場合でも足骨の破壊性病変が起こる糖尿病性骨症がある.われわれは下肢の感染を伴う壊疽を合併する糖尿病および壊疽がない糖尿病で骨の破壊性病変を来たした5症例を経験した.これら症例は1例を除いて罹病歴10年以上, コントロール状態不良の糖尿病で, 著明な末梢神経障害および網膜症を合併している.骨病変は軟部壊死に伴う病変, 化膿性骨髄炎による破壊のほか, 壊疽を伴わない症例でレ線上主として某節骨, 中足骨, 一部足根骨にみられる破壊像は病変部位およびレ線所見とその経過から糖尿病性骨症と考えられ, 壊疽の症例でも壊疽のない部位に同様の病変が認められた.化膿性骨髄炎および糖尿病性骨症の骨病変には経過中レ線所見上骨新生の傾向もみられた.また広汎な壊疽を伴い死亡した1症例の剖検所見では腎膿瘍のほか, 破壊された骨の病理組織所見で骨梁の萎縮および水腫状の粗霧な問質に再生像として少数の骨母細胞型の巨細胞を認めたが, 炎症性細胞反応は殆んどみられなかった.
神経病性関節症 (Charcot joint) および糖尿病性骨症の文献的考察とともに糖尿病に合併する骨病変について自験例を中心として検討を加えた.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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