糖尿病
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糖尿病における血清蛋白の研究 (第2報)
補体系および補体インヒビターの変動と細小血管病変との関係
塩田 善朗有田 禎二上田 昭夫松崎 稔堀井 昌子松井 豊阿部 泰昭近藤 猪一郎饗場 弘道
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1976 年 19 巻 6 号 p. 817-826

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抄録

1報で, 我々は血清中β1-Bglobulin (c4) とβ1-C/A-globulin (C3) などの補体が糖尿病患者において増加していることを報告したが, 本報では, 健常成人20名を対照に, 糖尿病患者95名につきCH50をMayerの原法により, 同32名につき補体系のC1q, C1s, C3a, C3A, C5, C9を, 補体インヒビターとしてC1s-INHをsingle radial immunodiffusion method (Behringwerke Partigen使用) により測定した.さらに糖尿病患者 (DM群) を細小血管病変を認めないD群, 網膜症を伴うR群, 腎症を伴うN群に分けて検討した.
その結果, 以下の結果が得られた. (1) CH50は全糖尿病患者群で増加し, D群よりR群で増加が増強し たが, N群では増加と減少の2方向に分れた. (2) early-acting componentとしてC1sの増加がDM, N の各群でみられた. (3) alternative pathwayではC3Aの軽度の増加がみられた. (4) late-acting component ではC5の著増とCgの軽度の増加が認められた. (5) C1s-INHは糖尿病患者の全群で著増を示し た. (6) CH50, C1s-INH, C9などは細小血管病変の進展に伴い増加が増強した.以上のような補体系の変動がおこる機序および補体系高値の病態生理学的意義は明らかでないが, 多彩な補体の性状から, 補体系が細小血管病変の進展に関与する重要な因子であることが示唆された.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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