糖尿病
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伝染性単球増加症罹患中に発症した小児若年型糖尿病の1例
Epstein-Barrウイルス抗体価の変動と急性糖尿病の経過について
難波 光義桑島 正道福本 泰明豊島 博行松山 辰男野中 共平栗村 敬大津 啓二有田 耕司垂井 清一郎
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1978 年 21 巻 12 号 p. 1073-1082

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抄録

若年型糖尿病の成因をウィルス感染にご求める研究報告は必ずしも少なくないが, Epstein-Barrウィルス (EB) の感染による伝染性単球増加症 (IM) に続発した若年型糖尿病の症例報告は現在までに世界で2例を数えるにすぎない.今回, 私どもはEB感染により発症したと判断される小児の若年型糖尿病を経験した.症例は7歳男子で, 約2週間におよぶ嘔吐, 下痢, 発熱等の感染症状が軽快して約1週間後にご口渇, 多飲, 多尿が出現した.糖尿病症状発現時, 全身のリンパ節腫脹, 肝腫, 脱水症状, 高血糖 (600mg/dl) およびケトージス (血液β-ハイドロキシ酪酸4296μM) を認めた.当初, 1日量60単位のインスリンを使用し, 臨床症状はすみやかに改善したが, O-GTTは高度の耐糖能異常ならびにIRI, CPR反応の欠如を示し, 1年経過後の現在もインスリン療法に依存している.入院時には異型リンパ球は少数しか認められなかったが, Paul-Bmnell反応224倍, EBのカプシド抗原に対する抗体価160倍, EB特異性IgM抗体価640倍であり, 経時的な各抗体価の消長から先の感染症をEBによるIMと診断した.症例には糖尿病の家族歴および肥満歴がなく, 発症1年前の尿糖は陰性であった.しかも臨床経過を通じて膵炎の所見がなく, 感染症状と糖尿病発症との間に時間差があることから, 感染がストレスとなって潜在性糖尿病が増悪したのではなく, EBにより膵B細胞に不可逆的障害が生じ, 新たに急性糖尿病が発症したものと考えた.本例のHLAはAW26, BW40/AW24, B7であり, 発症7ヵ月後にご甲状腺マイクロゾーム抗体が陽性化している.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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