1978 年 21 巻 3 号 p. 185-190
9改正日本薬局方規格において, レンテインスリン製剤中の亜鉛量は, インスリン100単位当り0.20mgから0.30mgとされている.ところが米国では, 1977年, 第19改正合衆国薬局方追補3により, 亜鉛量の下限界が引き下げられ, インスリン100単位当り0.12mgとなった.このため, 米国製レンテインスリン製剤は, わが国の薬局方に合わないことになった.
そこで, レントインスリン「リリー」の亜鉛量0.21mg/100単位 (A剤), および亜鉛量0.14mg/100単位 (B剤) の2製剤を用い, 当院入院中の6人の糖尿病患者で, crossover法により, 臨床上血糖上昇抑制作用および持続時間の差異の有無を検討し, 分散分析により次の結果を得た.
1) 低亜鉛製剤においても, 現行製剤に比し同等の血糖上昇抑制作用を認めたが, より速やかに早朝空腹時血糖値に戻る傾向がみられた.
2) 低亜鉛製剤においても, 注射後の血清IRIは現行製剤と同等の上昇およびその維持を示した.