糖尿病
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ブドウ糖負荷時のグルカゴン分泌異常に及ぼす糖尿病治療の影響
清野 裕池田 正毅倉八 博之桜井 英雄田港 朝彦後藤 康生井上 喜通門脇 誠三森 幸三郎千葉 勉吉見 輝也井村 裕夫
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1978 年 21 巻 3 号 p. 203-209

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抄録

糖尿病ではインスリンの分泌のみならず, グルカゴンの分泌にも異常が認められる.すでに糖尿病ではアルギニンに対するグルカゴン反応は過剰であり, このグルカゴン反応の異常は治療により是正されることが知られている.しかし糖尿病は膵A, B両細胞のブドウ糖に対する感受性の低下が特徴であるという見解もあり, 糖尿病の治療によってブドウ糖に対するグルカゴン反応がいかに推移するかは極めて興味深い.そこでこの点を明らかにする目的で未治療糖尿病者54例に対し, うち25例をインスリン, 29例をSU剤により治療し, 治療前後で509経ロブドウ糖負荷時のグルカゴン反応を比較した.治療前では両群共ブドウ糖に対するグルカゴン反応は空腹時より正常者に比し高値であり, 糖負荷後も正常者ではグルカゴンは前値に比し有意に低下するのに対し, 糖尿病では低下せずむしろ逆に上昇する例が多くみられた.一方糖尿病をインスリン, SU剤で治療すると両群とも空腹時グルカゴン値は低下したが, ブドウ糖によって抑制されないグルカゴン反応の異常は改善がみられず, アミノ酸の場合とは異なった成績が得られた.このことは糖尿病では恐らくB細胞のみならずA細胞にもブドウ糖認知機構に異常が存在し, 治療によっても是正されないことを示唆している.また, SU剤治療の場合のように治療によってブドウ糖に対するインスリン反応が必ずしも改善されない場合もあり, これらの事実はA細胞がブドウ糖を認識する際にインスリンが必要である可能性も考えられ, この点についてのより詳細な検討が必要である.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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