糖尿病
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ChlorpropamideによりSIADHを呈した糖尿病患者の1例
廣瀬 賢次篠塚 正彦隆 元英
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1978 年 21 巻 3 号 p. 233-238

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抄録

ChlorpropamideによるADH分泌異常症候群 (SIADH) は, いまだ海外で少数の症例報告があるのみである.今回われわれが報告した症例は, 4年前よりchlorpropamide 500mgの内服を続けている49歳の男性糖尿病患者で, 併発したright pamsagittal meningiomaの術前および術後の時期に, hypomtremiaが偶然見出された.この低Na血症はchlorpropamideをacctohexamideに置換後消失したが, 7日間challengetestを行ったところ再現した (Na 136→114mEq/L).そしてこの際, 血清滲透圧の低下 (最低246mOsm/L) と尿滲透圧の上昇 (最高512mOsm/L), 尿中Naの排泄増加によるNaのnegativebalanceなどSIADHの主要所見が得られた.
また血中ADHを測定した結果は, 前値4.3μU/ml, 6日後3.6μU/mlであって, chlorpropamide内服によるADHの持続的変動は認められなかった.一方本症例では, 著明な尿量減少, 体重増加といったADHの抗利尿効果と水中毒症状が出現せず, また中年患者である点が, 既報告例と異なっていたが, その理由として, 併用していたdiphenylhydantionのADH抑制作用, 血中ADHの軽度上昇による前準備状態の関与がそれぞれ推測された.さらに本例では, その尿中Na排泄増加, 低Na血症の発生機序に関して, 従来いわれているADHの抗利尿効果 (細胞外液増加) による以外に, natriuretic effectも考慮する必要があることも述べた.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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