糖尿病
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Gliclazideの糖尿病治療における効果に関する研究
血小板粘着能に対する影響について
中山 昌彦福井 巖角本 永一正木 清孝佐伯 晋小関 忠尚大塚 昭男横尾 定美落合 公朗松山 慎一
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1979 年 22 巻 9 号 p. 977-988

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抄録

糖尿病性血管合併症の悪化因子として, 血栓形成傾向の増加が注目されているが, 新しく開発されたSU剤gliclazideは血糖降下作用に加えて血小板粘着能抑制により血管合併症の進行を予防するといわれている.
著者らはgliclazideの臨床効果をみる目的で, 食事療法のみではコントロールされない成人型糖尿病患者30例に, 本剤を1日20mg~240mg投与し, 12ヵ月以上最高30ヵ月 (平均22、2ヵ月) の臨床的観察を行い以下の結果を得た.
1. 全期間を通じて, 血糖値good control 19例 (63%), fair contro 16例 (20%), poor contro 15例 (17%) であった. 食事療法がおおむね成功したと考え得る, 投与後体重正常群では73%でgood controlであった.
2. 血小板粘着能は69%が中ないし低値に保たれ, 対照としたinsulinおよび既存のSU剤使用例に比し高値例が少ない傾向がみられた (P<0.10).
3. 本剤の粘着能低下作用は血糖コントロールと関係がみられず, むしろ投与量と関係して増減し, 血小板機能に対する直接作用があると推定された。
4. 血管合併症については, 眼底, 蛋白尿, 心電図の推移をみたが, 著しい変化はみられず, 不変のままとどまるものが大部分であった.
5. 造血機能, 肝機能, 腎機能に悪影響は認められなかった.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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