糖尿病
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インスリン治療糖尿病者の高HDL-Cholesterol血症に関する検討
白石 正晴安東 良博真柴 裕人
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1980 年 23 巻 12 号 p. 1101-1108

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抄録

インスリン治療糖尿病者では, 高HDL-chol1esterd血症が認められると言われている.そこで, その成因を検討する9的で, 糖尿病者82名, 健常対照50名を対象にして, 血清LCAT活性について注目し検討を行った.その結果次のような成績を得た.
1.インスリン治療者では, 男女とも, 経口血糖降下剤服用群, 食事療法単独群, 健常対照と比較して血清HDL-cholesterolの高値が認められた.
2. インスリン治療者の血清LCAT活性, 血清fねctional LCAT rateは, 男女とも, 他の群と比較して差は認められなかった.
3. インスリン治療者の女では, 他の群に比較して血清Triglycerideの低値が認められた.
4. インスリン治療者の女では, 血清HDL-cholesterolレベルとfractional LCAT rate, そして血清HDL-cholesterol/total cholesterol比と血清LCAT活性, fractional LCAT rateと負の相関が認められた.
以上より, インスリン治療者の高HDL-cholesterol血症は, 男女とも血清LCAT活性を介するものではなく, 女の場合は, 外来性インスリンによって高められたLPL活性を介して, TG-rich lipoproteinからのHDLの合成が高められたものと推定された.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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