糖尿病
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Prospective Follow-up Studyによる本邦糖尿病患者の予後調査
登録後1年目の成績とくに死亡率と死因について
三原 俊彦平田 幸正
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1980 年 23 巻 2 号 p. 149-156

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抄録

本邦糖尿病患者の死亡率に関しては不明であり, 糖尿病患者の有する臨床所見と死亡率を含めた患者の予後との関係を明らかにする目的で, 1976年1月より12月までの1年間に, 東京女子医大糖尿病センターを受診した糖尿病患者のうち, 諸臨床調査項目の完備した1,629名 (男898名, 女731名) について, ProspectiveFollow-up Studyによる予後調査を開始した.調査開始後1年目の成績のうち, とくに糖尿病患者の死亡率と死因について検討を行いつぎの結果を得た.本調査1年後の患者の生死に関する追跡率は99.9%であり, 死亡者は31名 (男23名, 女8名) であり, 死亡率は1.90%(男2。56%, 女1.09%) であった.1,629名の糖尿病患者の性, 年齢にマッチさせて算出した国民一般の期待死亡率は1。63%(男2.00%, 女1.18%) であり, 糖尿病患者の死亡率が国民一般の期待死亡率より軽度高かった.登録時に神経障害, 網膜症, 蛋白尿のいずれも有しなかったものの1年後の死亡率は0%(0/401) であったのに対し, これらすべてを有したものの死亡率は5.91%(12/203) と高かった.死亡者31名全員の死亡診断書による死因の内訳は, 心筋梗塞, 悪性新生物がともに7名で最も多く, ついで腎症4名, 脳血管障害3名の順であった.死亡糖尿病患者31名の死亡診断書に「糖尿病」の病名の記載があったのは16名であり, その記載率は51.6%にすぎなかった.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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