糖尿病
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尿中Somatostatin-like Immunoreactivity測定の基礎的検討, および正常者の日内変動
竹下 建夫
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1980 年 23 巻 4 号 p. 277-286

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抄録

ソマトスタチンに特異的, かつ高感度のmdioimmunoassay (RIA) 系を確立し, 尿中のsomatostatinEke immunoreactivity (SLI) 測定の基礎的検討を行い, さらに正常者尿中SLIの日内変動を測定した.
S307抗ソマトスタチン血清は最終希釈45,000倍で使用し, ソマトスタチンに特異的であった.S307を用いたRIA系は感度2Pg/ml, 測定内変動8%, 測定間変動19%, 回収率96.7%, 希釈試験も良好な結果を得た.尿中SHは比較的安定で測定に適し, 尿中には本測定系の阻害物が存在しないと思われた.Sephadex G 25を用いたゲル濾過の検討により, 尿中SHは合成ソマトスタチンと同一分子量と見られ, さらに合成ソマトスタチソ注入実験の結果, 血中ソマトスタチン濃度をある程度反映しているという成績を得, 尿中SLIの測定はソマトスタチンの病態生理学的意義の解明に有用な方法の1つであることを確認した.
正常者の尿中SLIの基礎値 (0~8時) は167±45Pg/hr (mean±S.E.M.) であり, 昼食後および夕食後に有意の上昇 (p<0.01) を認め, 食事が直接的, あるいは消化管ホルモン等を介して間接的刺激となり, 主に胃, 腸, 膵からソマトスタチンが血中へ放出され尿中SLIの上昇を来すことが示唆された.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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