糖尿病
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治療中の糖尿病患者におけるHbAICと細小血管症との関連について
河原 玲子雨宮 禎子笠原 督平田 幸正
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1980 年 23 巻 4 号 p. 295-302

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抄録
カ月以上継続して治療を行っている糖尿病患者161名の早朝空腹時血糖と同時にHbAIcを測定し, 細小血管症および各種パラメーターとの関連について検討した.1) HbAIcは同時に測定したFBSおよび過去3カ月間の平均FBSと正相関を示した (r=0.55, p<0.001).2) 同時に測定したFBSが119mg/dJ以下の群においてもそのHbAlcは6.69土1.88%で健常対照群の5.33土0.63%に比し有意に高値であった (p<0.02).3) 治療法別にみると食事療法, SU剤, インスリン治療群の順にHbAIcは高値となった.4) 持続性蛋白尿の有無とHbAlcについては, FBS140mg/dl未満の群でみると平均FBSは同程度にコントロールされていても持続性蛋白尿陽性者のHbAIcは陰性者のそれより有意に高値であった (7.94±2.04%, 6.91±1.97%それぞれp<0.05).5) 網膜症とHbAIcについては次の条件下においてみた場合に両者間に関係がみい出された.すなわちHbAIcと同時に測定したFBSが130mg/dl以下でさらに過去3ヵ月間のFBSが200mg/dlをこえたことは一度もない食事療法かSU剤治療患者27名において, 網膜症Scott IIIb以上のもののHbAicは7.11±0.8%でScott0の6.24±0.6%およびScottIa~IIIaの6.15±1.1%に比べ高値を示し, とくにScott0との間には推計学的に有意差をみとめた (p<0.02).
以上FBSからみてコントロールされているように思われる場合でも細小血管症のすすんでいるものにHbAIcがより高値であったという事実は, コントロールの示標としてHbAIcが重要であることを示すものである.
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© 社団法人 日本糖尿病学会
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