糖尿病
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糖尿病患者におけるインスリンのHDLコレステロール上昇作用について
田中 明若林 哲雄杉山 博通内村 功前沢 秀憲
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1981 年 24 巻 6 号 p. 641-647

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抄録

インスリン治療中の糖尿病患者にみられる血漿HDL・コレステロール (HDL・C) 上昇の特性を明らかにするため,(1) HDL・Cに影響力の大きい要因を解析し, これらをマッチさせた各療法群間の比較,(2) 同一例でインスリン注射によるHDL・Cおよび諸影響要因の変動, 相関の検討をした.健常287例, 糖尿病213例についてヘパリン・Mn法によるHDL・Cを比較したところ, インスリン群男子では健常男子, 食事群男子より有意に高値であった (p<0.01).HDL・Cに影響する要因の重回帰分析によりトリグリセリド・総コレステロール・肥満度を選択し, これらをマッチさせた糖尿病合計155例で, 各療法群間のHDL・Cを比較したところ, インスリン群は他群に比し高値であり, とくにインスリン群男子は食事群男子より有意に高値であった (p<0.02).糖尿病12例についてインスリン投与による諸要因の変動を検討したところ, HDL・Cは, 有意の上昇を示したが (p<0.02).この上昇はトリグリセリド・総コレステロール・肥満度・血糖の変化とは有意の相関を示さなかった.以上よりインスリン治療にHDL・C上昇作用の存在することが示唆され, TG・TC・肥満の影響による単なる結果でなく, またインスリン療法群患者の特性でない事が明らかにされた.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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