糖尿病
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インスリンの抗脂肪分解作用に対する糖尿病患者の感受性について
川合 厚生葛谷 信貞
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1982 年 25 巻 3 号 p. 189-195

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抄録

生体のインスリン (以下「イ」) 作用に対する感受性については, これまで主に糖代謝を対象として研究がなされてきたが, 脂肪代謝に対するものは乏しかった.本研究では,「イ」の抗脂肪分解作用に対する糖尿病患者の感受性について検討した.脂肪分解の指標として, 経ロブドウ糖負荷試験時, 分泌される「イ」に反応して減少するFFA量を選び, この減少量と内因性「イ」増加量の比から,「イ」の抗脂肪分解作用に対する感受性を推定した.対象は肥満度をマッチさせたインスリン非依存性糖尿病患者 (D群) 45名および健常対照者 (N群) 43名.FFA前値はN群360.3±113.5, D群538.9土168.7μEq/lで後者が有意に高かった.前値を基準として負荷後60分までのグラフ上の減少面積より算出したFFA減少 (ΔFFA) はN群429.7±269.5, D群422.5±257.1μEq/lで差はなかった.しかしΔFFAとFFA前値との間には, 両群共, それぞれ, 正の相関関係が認められたため, ΔFFA/前FFAを「補正FFA減少量」として計算した結果, N群 (1.12±0.51) に比しD群 (0.78±0.41) は有意に低かった.60分IRI増加量 (ΔIRI) はN群272±138, D群78±49μU/mlで後者の著減がみられた.
「イ」感性指数 (=補正ΔFFA/ΔIRI) は, N群4.84±3.19に対し, D群は16.49±16.16と有意に大きかった.この成績は, インスリン非依存性糖尿病患者において内因性「イ」の抗脂肪分解作用に対する感受性が尤進していることを示唆する.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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