糖尿病
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糖尿病の早期腎障害の研究
運動負荷試験による尿Albumin及び尿中lysosome酵素の変化
伊藤 芳樹宮川 高一引地 央大神田 伊曽美
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1982 年 25 巻 7 号 p. 777-783

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抄録

糖尿病の早期腎変化を検討するため主として成人発症型糖尿病16名 (1名のみ若年型糖尿病) と正常コントロール10名についてErgometer負荷前・中・後の尿Albuminの変化と, 血中, 尿中N-acetyl-β-D-glucosaminidase (以下NAGと略す), 尿中β-D-galactosidase (以下GALと略す) を調べ検討した.
1) 尿Albuminは正常者では増加が認められず正常者の又+2SDを正常域と考えると, Ergometer負荷により明らかに正常域を越えて上昇した糖尿病患者6名, わずかに上昇がみられたものが3名あった. 2) 血中NAGは尿Albuminの増加の認められた群には認められなかった群より有意に増加していた. 3) 尿NAG, GALはErgometer負荷前・中・後の間での差はなく, 糖尿病患者の尿NAGはErgometer負荷前・中において正常者よりも有意に増加していた. 4) 糖尿病患者における尿Albuminと尿NAG, GALの相関はErgometer負荷前ではなく, Ergometer負荷中および後において有意の正の相関を示した.
以上より, 尿NAG, GALは糖尿病の早期腎変化の原因に関与することが示唆され, また早期発見の良い指標と考えられた.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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