糖尿病
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Point Count法を用いた糖尿病妊婦胎盤の病理組織学的検討
本田 正志大森 安恵嶺井 里美東 桂子秋久 理真小浜 智子平田 幸正大内 広子石 和久
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キーワード: 胎盤, 妊娠, 糖尿病, 組織計測, 病理
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1982 年 25 巻 8 号 p. 899-907

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抄録

糖尿病妊婦の妊娠末期に起こる子宮内胎児死亡の主な原因と考えられる胎盤機能不全を病理組織学的にとらえる目的で, 糖尿病妊婦胎盤20例を対象として, Point Count法を用いて終末絨毛系の組織計測を行ない, その特徴を観察した.
Villous AreaおよびSyncytial Knottingの組織計測値が終末絨毛系に占める割合は, 正常妊婦胎盤に比較して糖尿病妊婦胎盤で有意に高値を示した.Trophoblastの組織計測値が終末絨毛系に占める割合は糖尿病妊婦胎盤で有意に低値を示した.Intervillous Fibrin Depositの組織計測値が終末絨毛系に占める割合は両群で有意差は認められなかった.
Trophoblastの組織計測値に対するSyncytial Knottingの組織計測値の比の比較では, 正常妊婦胎盤に比較して糖尿病妊婦胎盤で低値を示した.
網膜症陽性糖尿病妊婦胎盤と網膜症陰性糖尿病妊婦胎盤の終末絨毛系の各組織計測値の比較では, Villous Area, Trophoblast, Intervillous Fibrin Depositでは両群に有意差は認められなかったが, Syncytial Knottingは網膜症陰性群に比較して網膜症陽性群で有意に高値を認めた.
臨床的にいまだ胎盤機能不全を認めない時点においても, 糖尿病妊婦胎盤は機能不全に連なる状態にある所見が得られた.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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