糖尿病
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インフルエンザA型H3ウイルス感染後急性発症した高浸透圧性非ケトン性昏睡の1例
三輪 梅夫山村 敏明吉光 康平長谷田 祐一佐藤 隆小野江 為久大家 他喜雄坂戸 俊一中林 肇竹田 亮祐
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1982 年 25 巻 8 号 p. 923-929

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抄録

軽度肥満の66歳男子で, 高浸透圧性非ケトン性昏睡発症後, 18カ月以上にわたりインフルエンザAH3型ウィルスに対する血中抗体価が著しい高値 (×512~×2048) を持続し, 発病初期に血中膵島細胞膜抗体 (ICsA) 陽性を示した症例を報告した.HLAタイピングではA2, BW4, B7であった.
本例にみられた糖尿病が, インフルエンザウィルスによる膵島炎であるという直接的証拠はないが, ICAないしはICsAは臓器特異性の高い, 免疫応答で出現する液性抗体とみなされるので, その陽性所見は膵島炎の傍証といえる.また, 発症時期に一致してICsAが証明され, インスリン非依存となった時点で陰性化した事実も, ウィルスと糖尿病の病因的関連を強く支持する.臨床経過と上述の所見から本例の膵障害は一過性で可逆性の段階にあったと想豫される.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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