糖尿病
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抗ラ氏島細胞膜抗体の作製とその臓器および種属特異性の検討
中村 稔永渕 正法桶田 俊光山口 啓輔高木 良三郎
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1983 年 26 巻 4 号 p. 455-459

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抄録

実験的に抗ラ氏島細胞膜抗体を作製し, その細胞障害活性, 臓器および種属特異性について検討した.
シリアンゴールデンハムスター (以下ハムスターと略す) の膵ランゲルハンス島 (以下ラ氏島と略す) を, 完全フロイントアジュバントと混じ, ウサギ皮下に数回注射することにより, 抗ハムスターラ氏島血清を作製した.抗血清はハムスター脾細胞に対して臓器非特異的抗体を含んでいたため, ハムスター肝臓, 脾臓ホモジネートにて, 脾細胞と反応する抗体が消失するまで吸収した.吸収後の抗血清は, ハムスターラ氏島細胞に対して, 補体存在下で, 32倍の希釈で50%の細胞障害活性を有した.また, 間接螢光抗体法にて, ラ氏島細胞表面と結合した抗ラ氏島細胞膜抗体の存在が確認された.この臓器特異性の高い抗ラ氏島細胞膜抗体は, ラット, マウス, モルモットなどの異種動物のラ氏島細胞とは, 交叉反応は認められず, 種属特異性が高いことが示唆された.
以上のことより・本抗体は・糖尿病患者に検出される抗ラ氏島細胞膜抗体 (いわゆるICSA) とは, 種属特異性の点で異なることが明らかとなった.また, ハムスターラ氏島細胞膜には, 臓器および種属特異性の高い抗原が表現されていることが明らかとなった.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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