糖尿病
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糖尿病妊婦の至適体重増加量について
秋久 理眞大森 安恵嶺井 里美東 桂子佐中 真由実本田 正志平田 幸正
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キーワード: 二妊娠, 体重至適増加量
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1983 年 26 巻 7 号 p. 721-727

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抄録

妊娠の日的は正常児を出産することである. 私達は糖尿病妊婦でよい児を得るためには妊娠中の至適体重増加量をどれだけにすればよいかを新生児合併症の面から検討した.
対象は妊娠前から糖尿病があり治療をうけており, 妊娠前と分娩直前まで定期的に正確に体重測定してある妊婦52症例62分娩例で, 分娩週38週以降のものとした. ほとんどの症例はインスリンで治療されていた.
妊娠中の食事摂取量はkとして昭和50年の厚生省栄養審議会より出された指針に従った. 妊娠中の体重増加量は妊娠直前と分娩前の最大体重の差をもって表した.
妊娠時母体の体重増加量は最小3.5から最大15 kg, 平均8.2±2.7kgであった. 体重増加量と新生児の出生時体重には明らかな相関を認め母体体重増加量が多いと出生時体重は増加傾向を示した (P<0.05). 体重増加量と妊娠中の最大インスリン需要量との問には相関はなかった. 体重増加量が6kg以上8kg未満のものは新生児の出生時体重は平均3188±502 gで正常と変わらず, 新生児合併症が最も少なかった点より, 糖尿病妊婦の妊娠による体重増加量は6kg以上8 kg未満が至適であると考えられた.
糖尿病妊婦の妊娠による体重増加量と児の出生時体重に相関があることから, 正常児を出産させるためには糖尿病妊婦においては8kg以上の過剰な体重増加をふせぐ食事療法が重要であるといえる

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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