糖尿病
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糖尿病ラットの性周期異常に関する研究
橋詰 直孝渡辺 溪子岡田 詔子
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1984 年 27 巻 2 号 p. 99-105

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抄録

糖尿病ラットにおける生殖機能障害のメカニズムを明らかにするため, ウィスター-今道成熟雌ラットを利用してアロキサン糖尿病状態での性周期異常の頻度, 糖尿病発症との時期的関係, 視床下部, 下垂体, 卵巣機能を検索し, 性周期異常に対するインスリンの影響について検討を加えた.
1) 性周期異常は75%に認められた.
2) 性周期異常は糖尿病発症5-10日40.5%, 10-15日26.2%, 15-20日19%, 20-25H8.3%, 25日以後6%の率で発生した.
3) 卵巣はPMS-G投与により反応を示した. 下垂体のLH-RHに対する反応性やLH, FSH含量は対照群と差がなかった視床下部LH-RH含量も対照群と差がなかった.
4) アロキサン投与24時間目からレンテインスリン3単位10日間皮下注射した. その間, 性周期異常は認められなかったがインスリン中止により出現した. 更に, 発情間期が続いた糖尿病ラットにインスリンを投与したところ血糖値の高低に関係なく性周期は回復した.
以上の結果からアロキサン糖尿病の性周期異常は三大合併症と異なり比較的早期に発生し, 視床下部の障害が認められた. この障害にはインスリン作用不足に基づく代謝異常が強く関与していることが推定された.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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