糖尿病
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ラット脂肪細胞のインスリン受容体, グルコース摂取, グルコース酸化におよぼす高脂肪食の影響
岩本 安彦
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1984 年 27 巻 4 号 p. 497-505

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抄録

高脂肪食 (脂肪42.6%) を7日問投与したウイスター系雄ラットより遊離脂肪細胞を調製し, 125I-インスリンの結合, 餅デオキシグルコース摂取ならびにグルコース酸化を測定し, 普通固型飼料 (脂肪4.5%) を与えた対照ラット脂肪細胞の成績と比較した.
両群ラットの体重増加, 1日摂取カロリーに差はなかったが, 実験時 (摂食) の血糖値は高脂肪食群 (HF群) がやや高く, 遊離脂肪細胞の平均直径もHF群がやや大きかった.トレーサー量の125I-インスリンの脂肪細胞への特異的結合はHF群 (0.76±0.13%) が対照群 (1.69±0.20%) に比べ低下しており, Scatchard plotより両群細胞のインスリン結合の親和性に差はみられず, HF群でbinding capacityの低下がみられた.2-デオキシグルコース摂取はインスリン無添加時には両群細胞で差はみられなかったが, インスリン (25ng/ml) の促進効果はHF群で低下していた.しかし結合インスリン量を横軸に, インスリンによる2-デオキシグルコース摂取促進効果を縦軸に両群の用量反応曲線を比較するとほぼ一致し, 受容体とグルコース透過系のcouplingには障害がないと考えられた.次に14C-グルコースから14CO2産生におよぼすインスリンの作用を両群で比較したところ, インスリンの各濃度でHF群の14CO2産生低下を認め, 用量反応曲線の右への偏移がみられた.以上の成績はHF群ラットの糖忍容力低下の原因の1つと考えられる.

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