糖尿病
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高齢者糖尿病の管理
田原 保宏島 健二弘田 明成池上 博司田中 彰熊原 雄一
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1984 年 27 巻 5 号 p. 577-583

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抄録

日本糖尿病学会評議員268名を対象にアンケート調査を行い, 高齢糖尿病患者の診断と管理について意見を求めた.有効回答者数は155名 (57.8%) であつた.高齢者糖尿病の診断に関しては, 糖尿病学会より発表された新基準をそのまま適用するとの回答が87.5%と多数を占め, 従来のように高齢者に対して診断基準を修正して用いる医師の割合はかなり小さくなった。血糖のコントロールに関しては, 高齢患者の血糖を青壮年患者よりやや高値とするとの回答が64.5%の多数を占めた.具体的な空腹時血糖のコントロール目標値は, 食事療法では100~140mg/dl, 経日剤療法では110~150mg/dl, インスリン療法では120~160mg/dlとする回答が多数を占めた.食事療法の指導においても, 高齢者に対してはやや緩徐に指導するとの回答が68.0%の多数を占め, 青壮年患者同様厳しく指導をするとの回答は27.4%であった.薬物療法の選択に当っては, 過半数 (53%) が青壮年患者と区別しないと回答したが, 薬物投与量を青壮年患者より少なくするとの回答が経口剤療法では66.496, インスリン療法では55.9%と多数を占めた.高齢糖尿病患者の管理を青壮年患者より緩徐に行う理由としては, 低血糖の危険性を指摘した回答が大多数であった.他に, 高齢患者に対する教育の重要性が多数の回答者により指摘されていた.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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