糖尿病
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糖尿病性自律神経障害によると思われる急性呼吸不全発作を反復した糖尿病性腎症の1例
森 豊浅野 由起雄荒井 義章東門 美代松尾 史郎木下 牧子斉間 恵樹酒瀬川 裕加藤 彰一中村 雄二岸本 道太
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1984 年 27 巻 6 号 p. 715-721

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抄録

糖尿病性合併症の中で自律神経障害は多彩な臨床像を伴って発現するが心臓血管系の神経調節機構の異常について多くの研究が報告されている. 1975年Lloyd-MostynとWatkinsの報告以来, 自律神経障害を伴う糖尿病患者の心呼吸停止発作が注目されてきたが, 本邦では3例の報告をみるにすぎない. 彰れわれは14年の罹病歴を有する55歳男性のインズリン依存性糖尿病患者で自律神経障害が主因と考えられる呼吸停止発作を8回繰り返し救命しえた症例を経験したので若干の考察を加え報告する. 本例の呼吸停止発作の誘因としては従来報告されている麻酔, 薬物, 呼吸器感染等による呼吸障害の関与も疑われ, かつ突然発症を特徴とした. さらに本邦報告の3症例と異なり呼吸停止後, 心停止が出現したのは計8回の発作中1回のみであり呼吸停止が主の病態であると考えられた.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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