糖尿病
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急性膵炎により糖尿病性ケトアシドーシスをひきおこした末端肥大症の1例
木村 敬子秋久 理真戸谷 理英子小川 百合子笠原 督河原 玲子平田 幸正宮川 めぐみ
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1984 年 27 巻 8 号 p. 937-944

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抄録

急性膵炎により糖尿病性ケトアシドーシスをひきおこし, これを契機に末端肥大症と糖尿病が初めて診断された症例を経験したので報告する.
症例は, 32歳男性.末端肥大症の推定発症年齢は25歳で, 7年後の昭和57年10月腹痛出現とともに, 意識状態が低下し, 緊急入院.糖尿病性ケトアシドーシスと診断される.この時, 血清, 尿アミラーゼの著明な高値を認め, 急性膵炎が疑われた.インスリン持続静注により, 1日最高178単位まで注入し, 血糖のコントロールは良好となり, 全身状態も改善した。アミラーゼ値も急減したが, アミラーゼクレアチニンクリァランス比 (P-type), リパーゼ, エラスターゼ1は高値で, 漸減傾向を呈し, 形態学的にも膵炎が疑われた.末端肥大症に対し, ℃B-154を投与し, 昭和58年2月28日Hardy手術を施行し, 術後コバルト照射を行い, 成長ホルモン値の低下, 糖代謝の改善を見た.
末端肥大症に合併する二次性糖尿病は, 比較的重症例が多く, インスリン抵抗性を示し, 感染症, 外科的手術などを契機に糖尿病性ケトアシドーシスを起こしやすいといわれており, 本例もその1症例と思われる.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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