糖尿病
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ヒトインスリンの使用経験
インスリン需要量が減少したインスリン抵抗性糖尿病の1例
富永 真琴大門 真丸橋 成次郎神村 匡蛯谷 功佐々木 英夫
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1984 年 27 巻 sppl1 号 p. 107-110

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抄録

12歳時に糖尿病性昏睡で発症し, その後, コントロールが困難となり, ブタNPHインスリンも有効でなく, レンテインスリンを150単位/日もの大量が必要であった21歳の男性の糖尿病症例にヒトモノタードMCインスリンを投与したところ, インスリン必要量は86単位/日と5.3%に減少した. この症例のインスリン結合率 (Binding Capacity) は29.1%と低値であったが, 血清総インスリンは360μU/ml以上と高値であった. この総インスリンはヒトインスリンに切り換えて2週後に170μU/mlと著減し, その後も減少したので, 本例のインスリン抵抗性はウシないしブタインスリン抗体によるものと推測され, このような症例にヒトインスリンは有用と思われた.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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