1984 年 27 巻 sppl1 号 p. 31-38
Ketosisなどを伴っていた8例のインスリン初回治療糖尿病者 (うち1例は学校検尿で尿糖陽性を指摘され, Ketosisは認めなかった) に対して, Semisynthetic Human Insulin (SHI, ノボ社) を用い, 各種のインスリン持続注入法を行った. 8例のうち4例はBiostator (マイルス社製) で, 2例は少量持続静脈内インスリン注入法で, 残りの2例はそれぞれ人工膵島 (日機装社製) とインスリン持続皮下注入法によって治療を行い, それぞれの方法による治療効果とその後のコントロール状態について比較検討した. 得られた成績は次のごとくである.
1) Biostatorによってインスリン初回治療を行い, その後の治療において速効型インスリンと中間型インスリンの分割・混注を行う方法は血糖コントロールを良好に維持するうえで有効である. 2) KetosisあるいはKetoacidosisを伴っている症例に初回インスリン治療を充分に行うことは, その後の内因性インスリン分泌能を回復・維持させるのに有効である.
3) SHIの使用によるインスリン抗体価の上昇は軽度であるが, IgG, IgEとも8例中2例で高値が示された.