糖尿病
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ヒトインスリン持続皮下注入療法による糖尿病の治療効果
島 健二池上 博司田中 彰弘田 明成田原 保宏熊原 雄一
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1984 年 27 巻 sppl1 号 p. 39-44

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抄録

例のインスリン依存型糖尿病患者にヒトアクトラピッドインスリンを用いるインスリン持続皮下注入療法 [CSII (ヒト)] を施行, 平均6.3カ月間 (4~10カ月間) 実施時の糖尿病コントロールおよびインスリン抗体価への影響について検討を加えた. コントロールの評価には空腹時および症例によっては食後2時間血糖値, さらにglycosylated Hb値を用いた. 血糖値は2~4週間隔あるいは毎日 (自己測定の場合) 測定の10個を用いた. また, その標準偏差をコントロール不安定性の指標とした. 抗体価は標識ブタインスリンの結合百分率で表現した. 6例中3例はブタインスリンを用いてのCSIIより, 残り3例は1日1~2回皮下注射よりの変更である. インスリン必要量の平均値は前33.5±13.1, 後30.6±12.8U/dayと有意差はなかった. CSII (ブタ) よりCSII (ヒト) に変更した3例中1例は, インスリン必要量は減少 (44.5→29.6U/day) し, また平均空腹時血糖値も350.6±68.8より210±83mg/dlと推計学的に有意に低下した. HbA1も12.2より8.7%に減少, コントロール改善を裏付けた. shotよりCSIIに変更した3例中2例に血糖値およびHbA1値の低下を認めたが, インスリン種差より, むしろ投与方法の変更による効果と考えられる. インスリン抗体価は7.3~58.6%に分布し, ヒトインスリン変更3.6カ月後も有意の低下を認めなかった. ヒトインスリンの特別な副作用はなかった.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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