1984 年 27 巻 sppl1 号 p. 57-60
インスリン初回治療糖尿病の7症例に対し, ヒトインスリン製剤の1つであるSemisynthetic human insulin (SHI) を使用し1年間にわたり血中インスリン抗体の推移を検討した. 使用したSHIはNovo社のActrapid-Human Monocomponent Insulin (A-HM) とMonotard-Human Monocomponent Insulin (M-HM) の両製剤である. 治療はA-HMとM-HMの混注かM-HM単独のいずれかによった. 血中インスリン抗体はpolyethyleneglycolを用いたinsulin binding capacity (%) によって求めた.
その結果SHI治療により7例中3例に明らかなインスリン抗体価の上昇を認めた. 以上より, たとえアミノ酸配列がヒトインスリンと同様のインスリン製剤によってもインスリンの抗原性は消失しないことを示唆した.