糖尿病
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インスリン皮下吸収のPharmacokinetics
三沢 和史中山 秀隆青木 伸小森 克俊黒田 義彦種田 紳二対馬 哲沢村 祐一吉田 裕中川 昌一
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1985 年 28 巻 11 号 p. 1205-1214

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抄録

インスリンの皮下吸収動態を非標識インスリンを用いて検討した.
4羽のウサギにActrapid® MCインスリン (0.2U/kg) の皮下注・静注のPair試験を繰り返し行った.皮下注および静注後の血清IRI・時間曲線をcompartmcntal modelおよびnoncompartmcntalmodclによって解析した.
皮下注前IRI値 (mean±SD, μU/ml) は6.2±2.2で注射後20分でピーク恒74.4±26.3に達したのち指数関数的に下降した.吸収速度定数 (ka) は0.021±0.006/min, 吸収半減期 (T1/2ka) は37±14min, 消失速度定数 (kc) は0.189±0.021/min, lagtimeは4.7±2.4minであった.
静注前IRI値は6.1±1.8, 速い分布速度定数 (α) は0.254±0.094/min, 遅い分布速度定数 (β) は0.078±0.037/min, 生物学的半減期 (T1/2β) は10.8±4.8minであった.
生物学的利用率 (bioavailability) の検討では皮下注の曲線下面積 (AUCsc, mU・min・ml-1・U-1) は0→∞7.3±1.7でAUCIV (17.9±3.1) に比して有意 (P<0.001) に小さかった.皮下吸収率 (AUCSC/AUCIV'%) は43±13, その個体内変動 (CV,%) は32±9でクリアラソス (CLtot) の個体内変動19±4に比して大きかった,
したがって, インスリン皮下投与計画にkinctic modclを活用する際はなるべく繰り返し求めた個別のパラメータ値を用いることが妥当と考えられる.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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