糖尿病
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インスリン依存性判定の指標としての1回尿Cペプチド測定の有用性
鎌田 郁子岩本 安彦坂本 美一松田 文子葛谷 健
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1985 年 28 巻 11 号 p. 1241-1246

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抄録

24時間尿Cペプチド (24時間尿CPR) は糖尿病患者のインスリン依存性判定の指標として有用であるが, 外来患者では完全蓄尿が困難なため, 信頼性に欠ける場合もある. これに代わる簡便なスクリーニングとして, 朝食前および朝食後約2時間の1回尿のCペプチド/クレアチニン比 (スポット尿CPR (μg/g・Cr)) を測定し, 24時間尿CPR, 血清CPRとの相関を調べ, インスリン依存性判定における有用性を検討し, 次の結果を得た.
(1) 食前および食後スポット尿CPRと24時間尿CPRはそれぞれ相関係数r=0.66 (n=70, p<0.001), r=0.67 (n=72, P<0.001) と正の相関があつた. (2) 食前および食後スポット尿CPRと食前および食後血清CPRはそれぞれ相関係数r=0.53 (n=72, P<0.001), r=0.59 (n=73, P<0.001) と相関があった. (3) 食前および食後血清CPRと24時間尿CPRにも相膜は認められたが, 食前・食後ともにスポット尿CPRと24時間尿CPRとの相関の方が高い結果を得た. (4) 食後スポット尿CIR (平均±SD) は正常老55.1±32.6, NIDDM64.7±37.6, IDDM3.7±7.3 (μg/g・Cr) であり, IDDMとNIDDMに有意の差が認められた (p<0.001).
以上より, 食前および食後スポット尿CPRは糖尿病患者におけるインスリン依存性の1指標として有用であり, 食後スポット尿CPR15μg/g・Cr以下はIDDMの可能性が高い. スポット尿CPRの測定は外来での簡便なスクリーニングとして利用価値がある.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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