糖尿病
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子宮のブドウ糖酸化におよぼすオキシトシンの影響
岡部 正片岡 邦三松木 駿
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1985 年 28 巻 2 号 p. 119-125

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抄録

オキシトシンは, 脂肪細胞のブドウ糖代謝を, 子宮筋のオキシトシンレセプターと同じ特異性を持つレセプターを介して促進することが知られている. 本論文では, 子宮のブドウ糖酸化をRodbell法にて測定し, オキシトシンの影響につき検討したので報告する.
1. Diestrus期SDラットの子宮では, オキシトシンは主に五炭糖リン酸回路を刺激したが, 子宮筋層ではブドウ糖酸化促進作用を認めず, 内膜が反応していると考えられた.
2. この作用の用量反応曲線は, 脂肪細胞, 胸腺細胞でのブドウ糖酸化促進作用, 子宮筋収縮刺激作用のものに酷似し, 同じレセプターを介する可能性が示唆された.
3. Estrus期SDラットの子宮筋層では, オキシトシンは合成コリン剤のカルバコールと同様にTCA回路を促進し, 子宮筋収縮時にTCA回路からATPを供給したと推測された.
4. 子宮筋の収縮はオキシトシンに反応するが, 脂肪細胞のブドウ糖酸化はオキシトシンで促進されないBrattleboroラットの子宮のブドウ糖酸化は, diestrus期ではオキシトシンに反応せず, estrus期にTCA回路が促進された.
5. ヒト子宮内膜のブドウ糖酸化は, 増殖期にオキシトシンにより促進されたが・分泌期では促進されなかった.
以上より, オキシトシンは子宮筋と類似のレセプターを介して, 子宮内膜のブドウ糖代謝に関与している可能性が考えられた.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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