糖尿病
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膵ラ島培養細胞のインスリン分泌についてみた単層培養法と浮遊培養法
大河原 久子町山 悦子水野 美淳平田 幸正桜井 靖久
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1985 年 28 巻 4 号 p. 537-542

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抄録

成熟ラットの膵ラ島細胞のインスリン分泌について, 単層培養法と浮遊培養法との違いによる比較を行った.インスリン分泌能はコラゲナーゼ分離後の新鮮非培養ラ島細胞と, 15日間の浮遊培養または単層培養を行ったラ島細胞からのグルコース刺激に対するインスリン分泌量について検討した。グルコース刺激濃度は5.5mMD-グルコース, 16.7 mMD-グルコースおよび16.7 mMD-グルコースに1.0 mM 3-isobutyl-1-methylxanthine (IBMX) を添加したものを連続的に負荷した.
おのおの90分ごとに, 経時的にグルコース添加培養液にて培養し, その培養液中へのインスリンの放出量を測定した.培養液中へのインスリンの放出量は, 単層を形成したラ島細胞培養系で有意に高く, 高グルコースおよびIBMX 添加培養液でもさらに高反応を示した.また, 細胞内のインスリン含量は単層培養細胞で著しく高く, 続いて新鮮非培養細胞, 浮遊培養細胞の順であった.
これらの成績は, 培養膵ラ島の長期保存に最適な条件として, 膵ラ島を単層培養で保持するのがよいことを示唆した.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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