糖尿病
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糖尿病治療前後におけるリポ蛋白とアポ蛋白CおよびEのイソ蛋白の変動
竹越 忠美羽場 利博竹下 治生嵯峨 孝平井 淳一得田 与夫北島 耕作馬渕 宏
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1985 年 28 巻 6 号 p. 721-728

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抄録

糖尿病治療前後におけるリポ蛋白およびアポCとEのイソ蛋白を測定し以下の成績を得た.
(1) 糖尿病患者 (DM群) では健常群 (C群) に比してTC, chol. rich VLDL, IDL-C, LDL-Cなどatherogenicなリポ蛋白の増加が認められた.
(2) アポCIIはN群とDM群で有意差はなかったがアポCII, CII/CIIIとVLDL-TG間には有意の正相関 (それぞれr=0.433, r=0.461, P<0.01) が認められた.
(3) アポCIIIのイソ蛋白の内未治療DM群ではCIII-0の有意の低下とCIII-2, CIII-2/CIII-1の上昇傾向が認められDM群ではアポCIIIのシアル化が促進している可能性が示唆された.
(4) アポのイソ蛋白の内アポE3は未治療DM群では低値でありアポE2/E3比は高値の傾向にあった. アホE2/E3比とVLDL-TC/TG, CIII-2/CIII-1の間には有意の正相関 (それぞれr=0.396, r=0.342, p<0.05) を認め, 治療後は一部の経口剤投与例を除いてE2/E3比, CIII-2/CIII-1は低下した. ノイラミニダーゼ処理前後の検討から未治療糖尿病患者ではアポCのみならずアポEもシアル化の促進を示唆する成績が得られ, これらアホ蛋白の変化が糖尿病におけるレムナントの増加に一部関与しているものと考えられた.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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