糖尿病
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異常ヘモグロビンの干渉により血中HbA1C濃度が異常高値を示した糖尿病の1例
有正 修道和田 明古田 嘉男金谷 経律原野 昭雄原野 恵子
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1985 年 28 巻 6 号 p. 775-778

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抄録

高速液体クロマトグラフィーによるHbA1c測定の際に, 偶然その分画に一致する異常ヘモグロビン, Hb Okayama [β2 (NA2) His→Gln] の干渉により, HbA1c測定値が43.7%と異常高値を示したインスリン非依存型糖尿病の1例を経験した. β2のHis+は, 2, 3-DPG結合部位である正電荷のクラスター構成要素の1つであるため, His+がGlnに置換することは2, 3-DPGのヘモグロビンへの結合に対して阻害的に作用する可能性があり, 本症例においても血液の酸素親和性の軽度の上昇が見られた.しかし臨床的には特に症状は認められなかった.
血中グリコヘモグロビン濃度は, 異常ヘモグロビンのみならず, その他の種々の要因により干渉をうけて高値を示す場合があるので, グリコヘモグロビン濃度の測定値を検討する際に注意する必要がある.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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