糖尿病
Online ISSN : 1881-588X
Print ISSN : 0021-437X
ISSN-L : 0021-437X
糖尿病性糸球体硬化症を中心とした1960年代剖検例と1970年代剖検例の比較
近藤 安子
著者情報
ジャーナル フリー

1985 年 28 巻 8 号 p. 881-887

詳細
抄録

糖尿病性糸球体硬化症の組織変化の強さと罹患年数, 死亡年齢, 直接死因との関係は, 既に1960年代の93例の剖検結果が報告されている. 今回はそれと同じ規準で, 1960年代93例より二次性糖尿病を除いた81例と, 1970年代209例について調べ両年代の差異を検討した.
1. 糖尿病剖検例における腎病変は, 1960年代では92%で, 1970年代では91%に認められ両年代共に高率にみられた.
2. 糸球体変化と罹患年数との関係は, 1960年代では, 罹患年数16年以上の症例が少なく明らかでなかったが, 1970年代では15年以内ではメサンギウムの肥厚III型の病変を有する症例が最も多く, 16年以上25年以内では結節性病変IV型を有する症例が最も多くなっていた. このことにより糖尿病性糸球体硬化症における結節性病変は16年から20年で完成すると思われる.
3. 1970年代において20歳, 30歳で糸球体変化の見られない症例の死亡がなくなり, 60歳70歳で, III型, IV型の病変を有する症例の死亡が多くなった.
4. 1970年代では感染症による死亡が減少している. 剖検例で, 糖尿病長期生存例が多くなったために悪性腫瘍が増加している. また両年代共に心, 脳, 腎による死亡が多く特に長期生存が可能になったことによりさらに糖尿病性糸球体硬化症は重要な死因となる合併症と考えられる.

著者関連情報
© 社団法人 日本糖尿病学会
次の記事
feedback
Top