糖尿病
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初代培養肝細胞におけるブドウ糖利用に及ぼすインスリンの早期および遅発作用
鈴木 正昭
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1985 年 28 巻 8 号 p. 909-918

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抄録

1) ラット初代培養肝細胞におけるブドウ糖利用はブドウ糖濃度依存性 (100~800mg/dl) に増加し, 24時間のインスリン存在下ではいずれのブドウ糖濃度でもさらに約2倍の増加がみられた.
2) インスリンの早期 (2~4時問) 作用としてブドウ糖からグリコーゲン, 脂質, ヌクレオタイド分画, 培地中乳酸分画への14Cのとりこみは約30~50%増加した. 一方インスリンの遅発効果 (24時間) はより明らかであり, 乳酸へのとりこみは21%と早期効果と大差なかったが, その他の分画へのとりこみは約50~112%増大した.
3) 蛋白合成阻害剤であるcydoheximide共存により, インスリンのブドウ糖細胞内とりこみに対する遅発効果は消失したが, 早期作用は認められた.
4) ブドウ糖利川の律速酵素であるglycogcn synthase, pyruvate kinase, glucokinase, glucose 6-phosphatedchydrogcnascは, インスリン添加4時間および24時間で低濃度基質における活性化あるいはVmaxの増加が認められた.
5) インスリンのブドウ糖利用促進効果は, インスリン濃度5ng/mlよりみられ, 100ng/mlで最大効果を示した.
以上より肝ブドウ糖利用に対するインスリン作用には早期および遅発効果があり, 前老は主として蛋白合成を介さず酵素の活性化により, 後者は酵素誘導など蛋白合成を介して発現し, いくつかの代謝経路の律速酵素の調節を介して発現していると考えられる.

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