糖尿病
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ヒト膵島B細胞クローンを用いた膵島細胞膜抗体の検討
松葉 育郎鶴岡 明森 豊佐々木 温子石井 賢治池田 義雄種瀬 富男石川 博大河原 久子平田 幸正丸山 太郎武井 泉片岡 邦三松木 駿阿部 正和
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1985 年 28 巻 8 号 p. 927-933

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抄録

ヒトの胎児膵山来であるB細胞クローン (JHPI-1) を抗原側細胞として, 間接螢光抗体法, 125I-protein Aによるradioligandassayによりインスリン依存型糖尿病 (以下IDDMと略す) 患者血清中の膵島細胞膜抗体 (以下ICSAと略す) の測定を行った. 原法に従ったラットあるいはマウスの分散膵島細胞を抗原側細胞とした成績と比較検討した.間接螢光抗体法を用いた検討では, ラットあるいはマウスの分散膵島細胞で陽性と判定された患者血清は, すべてJHPI-1細胞でも陽性を示した. また, 正常健常者血清で陰性を示した全例は, JHPI-1細胞でも陰性を示した. 一方, ラットあるいはマウスで陰性と判定されたIDDM患者血清の中に, JHPI-1細胞で陽性を示した症例が認められた. また, 125I-protein Aによるradioligandassayでも, ラットおよびマウスと良好な相関を示し, かつJHPI-1細胞の方が高い125I-protein Aactivityを示した.
以上のことより, ヒトの胎児膵由来であるB細胞クローンが, ラットおよびマウスの分散膵島細胞と同様にICSA検出の抗原側細胞となり得ること, またヒトにおいて種属特異性の高いICSAが存在することが考えられた.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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