糖尿病
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腎動脈石灰化を伴った糖尿病の5症例
嘉門 信雄小泉 順二馬渕 宏竹田 亮祐
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1985 年 28 巻 8 号 p. 941-947

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抄録

腎動脈の石灰化と糖尿病の関係を明らかにするため, 腎動脈石灰化を有する糖尿病患者5例につき成因を検討した. また, 石灰化の腎血流・腎機能への影響, 動脈硬化危険因子の有無および臨床像にも検討を加えた. その結果, 次の結論を得た.
1. 腎動脈石灰化は5例とも斑状ないし点状分布を呈し, 粥状硬化の石灰化と考えられた.
2.腎動脈石灰化は5例とも両側性にみられた. また大動脈には全例で, 脾動脈・腸骨動脈・大腿動脈等にも高頻度に石灰化がみられた.
3. 腎機能障害は1例でみられたが, 腎動脈の閉塞を示唆する例はなかった.
4. 入院時の空腹時血糖値は210.2±41.0mg/dl (mean±SEM), HbA1cは7.0±0.6%で血糖コントロールは不. 良であったが, 石灰化のない糖尿病群 (210例) と有意差はなかった. しかし推定罹病年数は16.0土
3.8年で, 石灰化のない糖尿病群の約2倍であった.
5. 年齢は69.2±2.2歳 (64~77歳) で石灰化のない糖尿病群より有意に高齢であった.
6. 動脈硬化危険因子では, 収縮期血圧が168.4±8.5mmHgで石灰化のない糖尿病群の134.4±1.8mmHgより有意に高かった. しかし大動脈に石灰化を有する糖尿病群 (100例) の148.4±2.8mmHgと差はなかった. 拡張期血圧, 肥満度, 脂質は石灰化のない糖尿病群と差はみられなかった.
7. 心電図ST-T変化は5例中1例であったのに対し, 網膜症は3例, 尿タンパクは4例でみられ, 石灰化とMicroangiopathyの関連が示唆された.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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