糖尿病
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糖尿病患者における歯科疾患の罹患状況についての研究
柴崎 貞二西 裕之
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1986 年 29 巻 1 号 p. 39-48

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抄録

糖尿病患者の歯科疾患の罹患状況を把握するために, 糖尿病患者240名と非糖尿病対照群 (健常者) 41名について歯科検診を行い, 両著を比較するとともに, 歯科疾患と糖尿病の罹病期間, 空腹時血糖値 (FBS), 糖尿病性合併症との関係を検討した.
1) 糖尿病患者においては, 対照群に比較して, ウ歯数および喪失歯数が多く, 処置歯数は少なかった.
2) 糖尿病患者における歯垢付着は, 対照群に比較してやや多く認められたが, 歯石沈着には有意差は認められなかった.
3) 高いウ蝕罹患傾向を糖尿病患者に認めた. しかし, 糖尿病の罹病期間, FBS, 糖尿病性合併症の有無との間には明瞭な関連は認められなかった.
4) 当該年齢にふさわしくない歯周組織破壊の進行を糖尿病患者に認めた. そして, 糖尿病の罹病期間が長くなるほど, FRSが高くなるほど, また網膜症, 腎症の存在するとき歯周組織の破壊は進行していた.
5) 糖尿病患者における歯科疾患を予防するためには, 糖尿病の代謝調整を良好に保つとともに, 充分な歯口清掃, 定期的歯科検診が必要であると考える.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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