糖尿病
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糖尿病患者の歯周組織疾患の解析
真山 享後藤 千秋豊田 隆謙後藤 由夫
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1986 年 29 巻 10 号 p. 921-926

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抄録

糖尿病患者147名, 非糖尿病者75名を対象として歯周部位の炎症性病変の程度を明らかにするために口腔診査を行った.歯周炎症の程度を定量的に評価する指標として, Bleeding Index, Periotron Value, Pocket Depth, Plaque Control Recordの4項目を用いた。糖尿病患者では非糖尿病者に比較して残存歯数が有意に少なく (P<0.01), 年齢とPlaque Control Recordを対応させた群では, Bleeding Index, Periotron Value, Pocket Depthが有意に高値を示した (p<0.05, p<0.01, p<0.01).また糖尿病患者では血糖コントロールが不良で, 細小血管障害を有し, 糖尿病罹病期間の長い群で, Bleeding Index, PeriotronValueが高値, あるいは高値を示す傾向であった.
糖尿病患者では歯周組織の易出血性, 易感染性, 脆弱性が存在し, 細小血管障害などと同様に血糖灘ントロールが不良で, 罹病期間が長くなると増悪すると考えられる.これらの予防には口腔清掃とともに血糖コントロールが重要である.すなわち糖尿病患者の歯周組織破壊には, 局所的因子よりも, 糖尿病による代謝異常という全身的な因子がより深く関与している.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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