糖尿病
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Chlorpropamideにより惹起されたと思われる再生不良性貧血の1例
藤浪 謙至村上 透奥 淳治飯塚 哲司斎藤 嘉美杉本 恒明
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キーワード: 再生不良性貧血
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1986 年 29 巻 10 号 p. 943-947

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抄録

症例は46歳男性会社員.糖尿病の血糖コントロールのため, 昭和56年12月末より, Chlorpropamideを投与されたが, 投与量が35gを越えた昭和57年2月初旬から感冒様症状, 易疲労感, 息切れなどが出現し, 3月4日当科に入院した.末梢血所見では, 赤血数216万/mm3, 白血球数2,000/mm3, 血小板数2.2万/mm3と汎血球減少症を呈し, 骨髄にも三系統の低形成が認められ, chlorpropamideによる再生不良性貧血と考えられた.Chlorpropamideを中止し, lente insulinを使用.約7週間のsteroid治療によって軽快した.
本剤による血液障害について, 文献的に検討した.再生不良性貧血の例は, 本例の他には1例のみで, 骨髄三系統の低形成を示す報告は他に2例あった.また, 顆粒球減少症を示す例には, 死亡例が4例あり, 高齢者で, 約投与量が10gで発症していた.
Chlorpropamide投与中には, 重篤な血液障害が出現することを配慮する必要があると思われる.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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