糖尿病
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膵B細胞荒廃度のMarkerとしての糖尿病患者の空腹時血糖値の不安定性
膵インスリンならびにC-peptide immunoreactivity含量よりみた研究
田坂 仁正丸茂 恒二井上 幸子平田 幸正
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1986 年 29 巻 2 号 p. 137-143

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抄録

糖尿病患者 (35名) と非糖尿病患者 (21名) の剖検による膵尾部 (死後6時間以内) よりインスリン (IRI) ならびにC-peptide immunoreactivity (CPR) を抽出し測定した.特にこのうち糖尿病外来または病室にて6カ月以上経過を追跡し空腹時血糖値 (FSG) を死亡前1週を除きできる限り末期に近く15回測定して平均値のstandard deviation (SD) を計算し得た28名においてはFSGのSDと膵尾部IRIならびにCPRとの関係を検討するとともに生前の朝食負荷試験時の血中ΣCPRと膵IRIとの関係を検討し次の結果を得た.
1. 糖尿病膵ではIRI, CPRともに非糖尿病者に比しその含量は有意に低い.
2. 糖尿病患者のFSGは膵尾部IRIの著減とともにその変動性が急速に増加し, FSGの平均値のSDと膵尾部IRIはともに対数関係において負の右意の相関を示した (p<0.01, r=-0.67).膵CPRも同様に負の有意の相関を示した (p<0.01, r=-0.76).
3. 繼尿病に合併せる肝硬変ならびに腎障害とFSGの平均値のSDの関係は腎障害で若干SDの低下がみられたが, ともに糖尿病全体のSDと有意差はなかった.
4. 糖尿病死亡前3年以内に行われた朝食負荷試験における前, 60,120分の血清ΣCPRは膵尾部IRIと高度に有意な相関があった (p<0.01, r=0.953), 以上により糖尿病患者のFSGの不安定性は主に膵B細胞の荒廃に基因すると考えられる.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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