糖尿病
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糖尿病のコントロールにより, ST-T変化が短時間に改善した3症例
平井 淳一羽場 利博竹越 忠美羽渕 靖治
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1986 年 29 巻 2 号 p. 145-150

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抄録

糖尿病治療によりST-T変化が短期間に改善した症例を経験したので報告する.
症例1 73歳女性. 約2年の糖尿病歴を有し, 入院時FBS 195mg/dl, HbA1 10.3%, 眼底はScott Iaであり, 心電図はI, II, aVL, V3-6にてST低下, V1-3にてT波の陰転化を示していた. 糖尿病食1200Cal, glibenclamide 2.5~5.0mgにてFBSは140mg/dlに低下するとともに, II, V5-6のST低下は改善しflat~low T波も正常化した.
症例2 44歳男性. 約1年の糖尿病歴を有し, 入院時FBS 214mg/dl, HbA1 10.9%, 眼底はScott Iaであり, 心電図はII, III, aVF, V6にてST低下を示していた. 糖尿病食1400Cal, Lente Insulin 8~18UにてFBSは161mg/dlに低下するとともに, II, III, aVF, V6のST低下は改善しT波高も正常化した.
症例3 56歳女性. 入院10日前より口渇感を覚え, 入院時FBS 302mg/dl, HbA1 12.2%, 眼底はScott 0であり, 心電図はI, II, III, aVL, V4-6にてST低下およびII, III, aVF, V1-6にてT波の陰転化が認められた. 糖尿病食1400Cal, Lente Insulin 8~20UにてFBSは62mg/dlへ, 尿糖量は179g/dayから8g/dayに減少すると, II, III, aVF, V5-6のST-T変化は消失した. しかしFBS 257mg/dl, 尿糖量95g/dayと悪化したところII, V5-6にST低下が再出現してきた.
以上3症例のST-T変化は, 細小血管症による心筋障害に代謝異常が加わり悪化し, 糖尿病治療により改善したと推察された.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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